ポーカーにおける「ポジション」とは?
ポジションの意味
ポーカーにおける「ポジション」とは、自分がアクション(チェック・ベット・コール・レイズ・フォールドなど)を行う順番を指します。この順番は、テーブル上のプレイヤー同士で共有されるもので、プレイヤーの位置に応じて、毎ハンドごとに変動します。
ポジションの優劣は、どれだけ多くの情報を得てから自分の判断を下せるかに直結しており、ポーカーでは戦略的に非常に重要な要素とされています。
ポジションの重要性
ポーカーでは、相手のアクションを見てから動けるため、ポジションが後の方が有利とされています。
後方ポジションのメリット:
- 相手の手の強さを推測しやすい
- ブラフが通りやすくなる
- ポットコントロール(賭け金の調整)をしやすい
- バリューベット(強い手での利益最大化)を最適に行える
など、ポーカーは後ろのポジションにいればいるほど
選択肢と勝ち筋が増えるゲームとなっています。
インポジション(IP)とアウトオブポジション(OOP)
ポーカーでは、自分の行動順に応じて以下の2つの立場があります。
インポジション(In Position / IP)
- そのハンド中で最後に行動できるプレイヤー
- たとえば、ポストフロップで「ボタン(BTN)」にいる場合、ほとんどの状況で最後に行動できる
- 最も有利なポジション
アウトオブポジション(Out of Position / OOP)
- 相手より先にアクションを起こさなければならないプレイヤー
- 情報が少ないまま判断を下す必要があるため、不利
- たとえば、スモールブラインドやアーリーポジション(UTG)は多くの場合OOPになる
ポーカーはポジションから始まる
強いハンドを持つことはもちろん重要ですが、同じハンドでも「どのポジションにいるか」でその価値は大きく変わります。
初心者のうちは、ポジションを意識してプレイするだけで、不要な損失を減らし、戦略的に一歩リードできます。
ポジションの種類と順番
基本の行動順(時計回り)
ポーカーではディーラーボタン(BTN)を基準に、時計回りにアクションが進行します。ボタンの右隣がスモールブラインド(SB)、その隣がビッグブラインド(BB)です。
プリフロップではUTG(アンダー・ザ・ガン)からアクションが始まり、ポストフロップではSBから始まります。

各ポジションの役割と戦略
ブラインドポジション(SB・BB)
スモールブラインド(SB)
- ディーラーの直右(ボタンの左)
- 強制的に半額ベット(スモールブラインド)を支払う
- プリフロップではBBの後に行動(2番目)
- フロップ以降は常に最初に行動(OOP)
戦略ポイント:
・位置的に非常に不利(情報がないまま最初に動く)
・VPIP(参加率)を広げすぎない
・多くのプレイヤーがSBをディフェンシブにプレイ
ビッグブラインド(BB)
- SBの左隣
- 強制的に1BBをベット
- プリフロップでは最後に行動できる
- フロップ以降はSBの次、2番目に行動
戦略ポイント:
・プリフロップでIPになれる唯一のブラインド
・相手のレイズに対してコールかフォールドの選択を迫られる
・ディフェンス範囲を広めにとることが多い(特に1対1)
アーリーポジション(UTG・UTG+1)
UTG(Under the Gun)
- ブラインドの左隣
- 最初にアクションを起こすポジション
- 情報が最も少ないため、最もタイトなレンジが必要
戦略ポイント:
強いハンドしかプレイしない(例:AA, KK, QQ, AKs など)
多人数テーブルではプレッシャーが大きい
UTG+1(9-maxで使用)
- UTGの左隣(2番目にアクション)
- UTGより少し広めのレンジが許容されるが、依然として慎重なプレイが求められる
ミドルポジション(MP1・MP2など)
- UTG・UTG+1の次に位置するポジション
- 9-maxではMP1・MP2などと細分化される
- 行動順が遅くなる分、レンジを広げやすい
戦略ポイント:
・バランス重視(強すぎず弱すぎず)
・スチールやレイズも状況次第では有効
・ポストフロップでのプレイ能力が問われる
レイトポジション(HJ・CO・BTN)
ハイジャック(HJ)
- MPとCOの間
- 盗み(スチール)やブラフに適したポジション
戦略ポイント:
BTNやCOの動きを見て慎重にプレイ
トリッキーな動きができる位置
カットオフ(CO)
- BTNの右隣
- スチール成功率が高く、攻撃的にいける
戦略ポイント:
BTNがタイトなら積極的にレイズ
3ベットのチャンスも多い
ボタン(BTN / Dealer)
- 全ストリートで最後に行動できる
- テーブルで最も有利なポジション
戦略ポイント:
・最も広いレンジで参加できる
・ブラフ、バリュー、スチールすべてにおいて最強
・自分のポジションを最大限に活用すべし
6-maxと9-maxのポジション比較表
テーブル形式 | ポジション順 |
6-max | UTG → HJ → CO → BTN → SB → BB |
9-max | UTG → UTG+1 → MP1 → MP2 → HJ → CO → BTN → SB → BB |
6-maxではポジションが少ない分、アーリーでもより広いレンジが求められます。一方で、9-maxではポジションが多く、より明確にポジションごとの戦略が分かれます。
ポジションは戦略の出発点
ポジションは単なる席順ではなく、勝率に直結する重要な戦略要素。
自分がどのポジションにいるかを常に意識してプレイすることで、無駄な損失を防ぎ、的確な判断ができるようになります。
ポジション別の戦略と注意
アーリーポジション(UTG・UTG+1)の立ち回り
特徴:情報が最も少なく、最も難しいポジション。
基本戦略
- タイトなレンジを厳守(約10〜15%のハンド)
AA〜99、AK、AQs、AJs などプレミアム〜強めのハンドのみプレイ - リンプイン(コールイン)はNG:後続にレイズされるリスクが高く、主導権を失いやすい
- オープンレイズが基本:自ら攻めることで主導権を得る
注意点
- ブラフは控えめに:読みづらい状況が多いため、素直なプレイが有効
- タイトなプレイは読まれやすいため、後続の3ベットに注意
- コールよりレイズを選ぶ意識を持つ
ミドルポジション(MP1・MP2など)での調整
特徴:EPよりは情報が増え、戦略の自由度が上がる中間的な立ち位置。
基本戦略
- レンジをやや広げる(15〜22%)
TT〜66、AJo、KQo、KJs などのミドル強度ハンドも含めてOK - 相手のプレイスタイル(ルース/タイト)に応じて調整
後ろにアグレッシブなプレイヤーがいればタイトに。
相手が消極的であれば、オープンレンジを広げる。
<注意点>
・バランス重視:攻めすぎず守りすぎず
・無理に攻めない:中途半端なブラフは危険
・フォールドも勇気ある選択肢:特に後続から3ベットが入った場合
レイトポジション(HJ・CO・BTN)を活かす方法
特徴:情報アドバンテージがあるため、最も自由度の高いポジション。
基本戦略
- 広いオープンレンジ(25〜45%)で攻める
SC(スーテッドコネクター)、ローポケット、ワンギャップスーテッドなども使える - スチール(ブラインドを奪う)を積極的に狙う
特にCOやBTNからのオープンレイズはスチール目的でもOK - ポストフロップでのブラフが通りやすい
ポジションのおかげで、相手のチェックに対してコンティニュエーションベットが有効
<注意点>
・相手に「スチール狙い」と読まれやすいため、再レイズに警戒
・広いレンジを使う分、ポストフロップの判断力が求められる
・弱いハンドでバリューベットと見せかけたブラフが必要になる場面もある
ブラインドポジション(SB・BB)で損しないプレイとは?
ブラインドポジションの特徴:
強制ベットのため、損失が積み重なりやすいポジション。
スモールブラインド(SB)
- 最も不利なポジション。参加するならレイズかフォールドが基本
- オープンリンプは非常に弱いアクションとみなされやすい
- 対BBとのヘッズアップであれば積極的に攻めるのも選択肢
ビッグブラインド(BB)
- プリフロップでは最後に行動できるため、幅広くディフェンス可能
- レイズへのコールは慎重に判断し、ポストフロップでの計画性が重要
<注意点(SB・BB共通)>
・自動的に損失が出るため、無駄なプレイを避ける
・ディフェンスの基準(相手のオープンサイズ、ポジション)を明確に持つ
・フロップ以降は基本的にOOP(アウトオブポジション)になるので、慎重な立ち回りが必要
・相手のコンティニュエーションベットにどう対応するかが勝敗を分ける
ポジションに応じた「目的」を意識
ポジション | 目的・心構え |
アーリーポジション | タイトに構え、主導権を取る |
ミドルポジション | 状況に応じた柔軟な判断 |
レイトポジション | スチール・ブラフを駆使して主導権を奪う |
ブラインド | 損失を最小限に抑える。明確なディフェンス基準を持つ |
ポジション別ハンドレンジの考え方(6-max)
ポジション | 推奨ハンドレンジ(目安) | 戦略のキーワード |
UTG | 12〜15%(AA〜88, AKs, AKo, AQs, KQs) | 超タイト・バリュー中心 |
MP | 15〜20%(+AJ, KQ, 77, T9sなど) | ややタイト・バランス型 |
HJ | 18〜25%(+ATs, QJs, 66, SCsなど) | 柔軟な攻守切り替え |
CO | 25〜35%(+A9, KJ, QTs, 55〜) | スチール・アグレッシブ型 |
BTN | 40〜55%(+A2, K9, Q9, SC, 22〜) | 最もルース・幅広い戦略可 |
SB/BB | 状況と相手次第(特にBBはディフェンス範囲) | 相手に合わせて対応 |
BTNやCOでは広いレンジ(弱いハンドも含め)でプレイしてよい理由:
→ 後から行動できる情報アドバンテージがあるため。逆にUTGは、まだ全員が後に控えているため、強いハンドでしか攻めにくい。
オープンレイズとリレイズの基準
オープンレイズ(最初のレイズ)
- EP(UTG・MP)では「バリュー(強い手)中心」
他プレイヤーにリレイズされても対応できる手のみ - LP(CO・BTN)では「スチール意識」でレンジを広げる
弱めのハンド(A9o, KTo, Q9sなど)でもOK
ポジションがある=後出しじゃんけんが可能
<オープンサイズの目安>
通常は2〜2.5BB程度(トーナメントでは2BBが主流)
リレイズ(3ベット)するべきタイミング
- 相手のオープンに対して、ポジションあり+強いハンド(AQ+, JJ+)なら積極的に3ベット
- ポジションがなくても、AA/KK/AKsのようなハンドでは3ベット
- スチール対策としてCO・BTNからのルースなレイズに対して、ブラインドから3ベットで牽制
*注意点として3ベットの頻度が高すぎると「リスチール狙い」と読まれ、4ベットされる可能性も上がる。
トーナメントにおけるポジション別レンジ調整
スタックサイズによる違い
- ショートスタック(15BB以下):
→ リンプよりもオールイン or フォールドの選択肢が増える
→ ポジションの重要性は低下するが、後ろほど選択肢は広がる - ディープスタック(40BB以上):
→ ポジションによるレンジの差が大きく出る
→ ポストフロップを見据えたハンド選びが重要
バブル期(入賞直前)のレンジ調整
- ICMを意識して慎重に(リスクを減らすプレイ)
- EPでのバリュー重視はそのまま、COやBTNでもスチール狙いの頻度を控えめに
- スタックが多いプレイヤーは攻めやすい(ICMプレッシャーをかけられる)
- ショートスタックはチャンスを見極めて一撃勝負に備える
レンジとポジションは「勝率の土台」
- 強いポジション=広いレンジが許される
- 弱いポジション=慎重なハンド選びが必要
- トーナメントでは、状況に応じて柔軟にレンジ調整する力がカギ
まとめ
これまで、ポーカーにおけるポジションの重要性について解説してきました。
ポーカーは「どんな手を持っているか」だけでなく、「どのポジションでプレイしているか」が勝敗を大きく左右します。
ポーカーの上達を目指す初心者の方は、まず「ポジション」を意識してプレイすることをおすすめします。これだけでも勝率が大きく変わってくるはずです。ぜひ、今回の記事を参考にポジションの理解を深めていただければと。
また、ポーカーに関するその他の記事もこちらにまとめていますので、あわせてご覧ください。